こんにちは、いずみんです。
抗がん剤治療による脱毛を防ぐ方法があることをご存じでしょうか?
もっと早くに知っていれば、私もやってみたかった「頭皮冷却療法」。
私の場合は髪がなくなる経過のことより、胸がなくなるという結果のショックが大きすぎて、「脱毛するかもしれない」なんていう「ないかもしれない」事項は後回しにしていたんですよね。
結局、抗がん剤治療開始から4週目に脱毛が始まってしまいました。
事前に「脱毛を防ぐ頭皮冷却療法」もあるという選択肢を知っていれば、より積極的に治療に取り込むことができたかもしれません。
米国では脱毛を防止する効果があるとして標準的な療法になりつつあるそうです。
私は2022年2月に抗がん剤治療を開始してしばらくしてから再建について調べていくうちに「国立がん研究センター中央病院」のWEBサイトで「頭皮冷却療法」を知りました。
なんで教えてくれなかったんだろうという疑問
乳腺外科の先生に試したかったことを伝えたところ、
「当院ではやっていないこと、保険外診療であること、また100%脱毛しないとは限らないのに高額であること。抗がん剤治療が終わったら髪は生えてくるしね。」要約するとこんな感じでした。
誤解しないでいただきたいのですが、先生も看護師さんも私の病気の状態を一番よく知っている頼もしい存在です。こうやってわかないことがあれば、ゆっくりと時間を割いて答えていただけます。
結果、先生の言う通りに髪はちゃんと生えてきました。
でも脱毛という体験はしないで済むならしない方がいい。生えてきた今でもそう思います。
・「頭皮冷却療法」のメカニズム
・「頭皮冷却療法」のメリット
・「頭皮冷却療法」の副作用
・病院と費用
・途中でやめてしまう人がいる
・「保冷パック」じゃダメなの?
・参考書籍
「頭皮冷却療法」のメカニズム
メカニズムは頭皮を冷却することで血管を収縮させて毛包細胞への抗がん薬の到達を減らし、頭皮の冷却による毛包の細胞分裂を減らす作用で、毛髪への薬剤の影響を減弱させる。
療法のタイミングは術前・術後。
スタイルとしては、頭に冷却キャップ(ヘッドギア)をかぶり、その中にマイナス4℃に冷やした液体を還流させることで、血管を収縮させて頭皮の血流を減少させる(頭皮の接触面は18°C程度に冷却)。
「国立がん研究センター中央病院」「虎の門病院」のWEBサイトに掲載されていたのは「Paxman(パックスマン)」という商品名のものでした。日本ではこれが血液学的悪性疾患および頭皮に腫瘍を有する患者を適応として承認されているそうです。
他にないのかと思って調べたところ、変わったところで帽子型の「愛帽」というものがありました。点滴しながら帽子をかぶってるだけのような身近な感じのものだといいなあ。
「Paxman(パックスマン)」
装置を開発したのは英国の元はビールサーバーの冷却システムを造っていた会社で、会長の奥様が乳がんになり、化学療法を行なったことがきっかけで、頭皮冷却の装置を開発したとのこと。
欧米では「Dignicap(ディグニキャップ)」
DigniCap頭皮冷却システム。国内では発毛専門の毛髪クリニック「リーブ21」が2017年に初めて導入。
国産では「セルガード」「愛帽」
「リーブ21」は、2020年3月に厚生労働省から製造販売承認を取得し、「頭皮冷却装置セルガード」を販売しています。
「Paxman(パックスマン)」では冷却キャップが日本人の頭部にフィットしにくいため、強制的に顎ヒモをきつく縛ったりして相当痛いと聞きました。保冷剤が当たらなかった場所には十分な効果が得られないことがあり斑になることがあると同じ乳がん経験者さんから私も聞きました。
日本人の頭の形状に合わせている「セルガード」が普及してくれるといいですね。
もう一つ、北海道で保冷剤を作っている「アイスジャパン」という会社が、頭皮冷却帽子を開発中で2022年4月6日にモニター男女50名の募集を終了させています。
保冷剤のメーカーと聞くと冷却効果が高そうですよね。また募集が「男女」ということですので、乳がんだけではない抗がん剤治療にも期待できるのでしょうか。効果があって安価に試せる日が待ち遠しいですね!
「頭皮冷却療法」のメリット
脱毛を防ぐということは、抜けたところの毛根のダメージも少ないため、回復が早いことがメリット。虎の門病院の事例では、ウィッグを最後まで必要としなかった方もいらっしゃったそうです。
冷却しない通常の場合は、抗がん剤投与後2~3週間で髪の毛がほぼ完全に抜け落ちてしまうといわれています。私は3週間目まで抜けなかったため「もしかして数パーセントの抜けない事例?」って少し期待しましたが、4週間目からカウントダウンのように確実に脱毛がすすみました。包み隠さず言ってしまうと数本残った長い髪がオラウータンのようでした(私は某プロレスラーの方のように断髪式をしませんでした)
「頭皮冷却療法」の副作用
副作用としては、低温誘発頭痛、首や肩の不快感、寒気および長時間の冷却キャップ装着に関連する痛みが最も多く、頭皮冷却の長期的影響よび頭皮転移リスクについてはまだ十分検討されていないとのことです。
病院と費用
保険外診療として全国約50カ所で導入されているそうです。
「国立病院機構四国がんセンター」ではまだ治験中のようです。
なかでも「鳥取市立病院」の装置使用料がわかりやすかったので参考にさせていただきました。
鳥取市立病院: https://hospital.tottori.tottori.jp/2649.html
「国立がん研究センター中央病院」でもレンタルがあると書いてあったのですが、私の場合、抗がん剤治療の回数が多いのでトータルで見ると購入してしまった方が安くなる計算でした。ただ、あまりの辛さに途中でやめてしまう方もいらっしゃるようなので、少し不安がある方は高くついてもレンタルから始めているという手もありますね。
「虎の門病院」は装置が3台(1台で2人使用するので予約がとりやすい??)もあり、設備が充実していて料金も明確でした。
・冷却キャップは約9万円(特注のため時間もかかります)
・1回当たりの使用料として1万5700円
・4~16回程度、15万~34万円
(乳がんのタイプによって抗がん剤の投与方法が異なるため回数に幅あり)
ウィッグは人毛だと15~100万円*はかかるので、それを考えれば安いのかなと思いましたが、100%脱毛しないわけではないので、もしかしたらダブルで費用がかさむかもしれませんよね。本当にお財布との相談と「やるだけやった」という気持ち。
今後は保険診療になって一般的になればいいなあと思います。
※ウィッグは3000円位からあります。また別の機会に使い心地など含めてご紹介します。
途中でやめてしまう人がいる
抗がん剤治療だけでも大変なところに、頭が激冷で辛くてやめてしまう方も少なくないそうです。
治療中の流れ
・点滴が始まる30分前から髪の毛をスプレーの水で濡らし、
洗い流さなくていいトリートメントも塗布する。
・その後、冷却キャップをかぶる。通常は抗がん剤点滴中の1~2時間と、
終わった後の90分、常温になるまでかぶったまま。
※一時的にチューブを外して10分以内であればトイレに行くことは可能
点滴の時は大目に水分を摂取して早めに身体から薬を出すようにするため、なるべく途中に排泄した方がいいと言われていますから、トイレに行けるのは助かりますね。
入浴時にも頭皮を温めてはいけないそうなので以下が注意事項になるそうです。
とにかく頭皮に刺激を与えてはいけない
・冷却後の24時間以内の洗髪やブラッシングはNG
・シャンプーは2日に1度または週に3回
・温水は使用不可。ぬるま湯で洗う
・ドライヤーは冷風のみ使用可
・育毛剤や整髪料は2か月間はNG
・カラーリングも2か月間はNG
真冬はとくに寒そう。。。
それに白髪染めができないってどうなの?会社行けないよ~
途中でやめてしまう理由
・頭皮の接触面が18°C程度に冷却されるのでとにかく冷たくて痛い
・外国製の冷却キャップを無理に合わせるので締め付けが厳しく、とくに顎ひもが食い込んで痛く、ずっと歯を食いしばっている感じ
・拘束される時間が長い
・こんなに痛いのを我慢しているのに思っていた効果まで得られなかった
保冷パックじゃダメなの?
保冷剤を作っている「アイスジャパン」の「愛帽」の記事をみて思いませんでしたか?
「あれ?冷蔵庫にたまってる「保冷パック」とか「アイスノン」でもできるんじゃ??」
今から思えばそれだったんだ!と思う方を病院でみかけたことがあります。
釣りに行くようなクーラーボックスが足元にあり、ヘルメットをかぶりながら点滴をしていたので印象に残っていました。事実、年に何人かそういった方がいらっしゃるそうです。
その方法があったんだ!と正直思いましたが効果はわからないとのこと。
民間療法の一つと思えばやってみたくなる気持ち、本当によくわかります。少しでも脱毛の軽減になればいいし、まったく無意味ではないと期待したいです。
とくに働いていると多くの人と会わなきゃいけないですし、突然PCをのぞき込んでくる人やエレベーターで後ろに立たれるとドキッとすると思います。
次は脱毛した方向けにウィッグ選びや風が強い日とか猛暑での対策で実際にやってみてよかったことを書いていきたいと思います。
ではまた。
参考書籍:
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